前日の夜から雨が降っていて、雪になるかもしれないと言われていた。
朝を迎えても雪が降ったり積もったりしている形跡はなかったので、車で下北沢へ。
道中でキャスをやっていると、みさきさんが暇とのことで、一緒に昼食を食べることにした。
本来であれば、暇なら一緒にライブ行こうぜ!と言いたいところだが…。
幸いにもなのか、生憎にもなのか、この日のイベントはソールドアウトだ。
ライブ観覧
「演家」というライブハウスは、少し前まで「ニュー風知空知」という名前だった。
ただ名前が変わっただけなのか、運営ごと変わったのかはよくわからない。
ちなみに「演家」は「シ寅家」と分けて「しとらや」と読むようだ。
ライブハウスというよりは、ライブバーに近いだろうか。
低めのステージがあって、客席にはイスだけでなくソファも並べられている。
ドリンクカウンターだけでなく、客席として座れるカウンターもある。
基本的に客は座りながら主にアコースティックライブを楽しむ場所だ。
それは「ニュー風知空知」から変わっていない。
なんなら置いてあるイスやテーブルもおそらく同じものだ。
大柴広己×コヤマヒデカズ
この2人の組み合わせを観るのは2023年の切磋琢磨以来1年半ぶりの観覧。
ツーマンではあるけど枠は分かれていなくて、2人でステージに上がる感じだ。
基本的にはギターの弾き語りで交互に歌ったり、トークを挟んだりというスタイルとなっている。
まずは2人で松任谷由実の『春よ、来い』が演奏された。
交互にメインを歌って、サビはコヤマヒデカズが主旋律、大柴広己がハモリという感じだったと思う。
カバー曲だからこそだろうか、改めて2人の力量の高さを感じたな。
ここからはトークを交えながらその時に歌う曲を決める、みたいな流れだった。
(もちろんある程度はやる曲を決めてるんだろうけど)
—
大柴広己がアップテンポな曲で場を盛り上げたあとに…。
コヤマヒデカズは、コロナ禍に家に引きこもって『どうぶつの森』をやっていたという話をしていたww
その頃にできた曲として『世界の果て』の演奏が始まった。
知っている曲だがそういうエピソードは知らなかった。
そんな話を聞けるのもこのイベントの良いところだろう。
その後、コロナ明けに似たテンポ似た曲調で作ったという『覚えていようと思ったよ』を演奏していた。
そう言われてみると、たしかに同じようなカテゴリーの曲だと思う。
2023年のときに何を演奏していたか忘れてしまったが…。
そこからCIVILIANで何度か観てきた曲たちを弾き語りで観れるのはとても新鮮だな、と思った。
—
続いて、来場者からのリクエストに答えるコーナーとなった。
いくつかのリクエストを書いた紙を主催のテディが持っていて、それを2人がランダムで選ぶシステムだ。
ちなみにリクエストは事前にX(旧Twitter)で募っていた。
まずは「ギターが凄い曲」というリクエストで大柴広己が歌っていた。
若いころに作った『コノユビトマレ』という曲のようで、弾き語りとは言えかなり激しく弾いていたww
次は「最近作った曲」みたいなリクエストだった。
こちらはコヤマヒデカズがやることになり、CIVILIANでやっている新曲をやるのかと思いきや…。
コードを覚えきれてないようで断念www
ということで2023年に出した最新アルバムの『完璧な人間』を披露。
こちらもCIVILIANで観たことはあるが、弾き語りで観るのは初めてだ。
コヤマヒデカズは、たまに弾き語りのライブをやっている。
そのセトリはあまり確認できていないが、そういうときにやっている曲が多いのかな。
—
次のリクエストは「かなわない曲」ということでカバーが演奏された。
コヤマヒデカズは最近ハマっている曲として藤井風の曲をチョイスしていた。
俺は知らない曲で、なんか言ってたけど曲名は忘れてしまったww
世間で流行ってるときはスルーしてて数年後にハマることが多い、と話していた。
ちなみに大柴広己は、かつてオープンマイクのイベントでアマチュア時代の藤井風に出会ったらしい。
最初に見出したのは俺、みたいなことを言っていたwww
大柴広己も「かなわない曲」があると言って、槇原敬之の『どんなときも』の演奏が始まった。
原曲をなぞるだけでなく、タメなどを織り交ぜて大柴広己らしい歌唱になっていた。
それなりにエピソードも引き出せたし、良いリクエストだった気がする。
さすが俺のリクエストだwwww
—
リクエストコーナーの最後は「ターニングポイントになった曲」だった。
ラストにふさわしい名曲が出そうな予感だし、なんなら何を演奏するか予想できるほどだ。
まず、大柴広己が代表曲中の代表曲『さよならミッドナイト』を演奏することに。
演奏前にエピソードが語られた。
おそらく大手のレコード会社からリリースするにあたって、歌詞中の「コンドーム」という言葉がNGだった。
それを大柴広己が変えないと突っぱねたので、リリースがポシャったというのは有名な話だ。
その上、レコード会社をクビになったらしいww
どうやらその話の続きがあったようで、それを話していた。
そのレコード会社の社長だか会長だか、クビになったあとも気にかけてもらっていたらしい。
コンプライアンス的にクビにしたものの、音楽の才能などを認めていて大柴広己を気に入っていたんだろうか。
大柴広己は「クビにしたくせにww」と悪態をつきながらも感謝を示していた。
そんな社長だか会長だかが、最近亡くなったようだ。
お世話になったその人に、もう一度聴かせたかった、みたいな前振りで『さよならミッドナイト』が始まったから、もう泣いちゃうよねwww
歌い終わったあとは恥ずかしさによる照れから「うんこちんこ」と言ってたけどwww
—
そんな流れでバトンを受け取ったコヤマヒデカズは何を歌うんだろうか、と会場中が思っていただろう。
『さよならミッドナイト』がきたからにはもうアレしかない、という空気だ。
大柴広己も「ほら、アレあるじゃん~」みたいな雰囲気だったwww
こういうのは、このスタイルのツーマンならではの展開だろうか。
相手がこれを歌ったからこっちはこれを、みたいな感じだ。
まさにライブが作られていく過程を見ているようで非常に興味深い。
ある意味、これこそが対バンと言えるかもしれない。
ヤバイTシャツ屋さんと岡崎体育のツーマンも、台本通りとは言え交互に演奏するするスタイルで面白かった。
コヤマヒデカズが話していたことは忘れてしまったが…。
自分が思っていることを曲にする難しさのようなことを話していた気がする。
会場にいるほとんどの人が思ったであろう曲に反して、マイナー調の暗いコードをポロポロと弾き出した。
ここでまさかの『メシア』である。
個人的に、弾き語りで観るのは初めてなので歓喜だ。
それまではわりとポップさもあったが、一気に会場の空気を痺れさせるような歌声が響いた。
この距離感で『メシア』を観る、というか浴びるのはなんとも言えない心地よさがある。
そこにライブの醍醐味の一片を見出した気がする。
—
最後のターンは、大柴広己が最近作った曲としてたしか『希望の鐘』(正式表記不明)という曲を演奏した。
ベタなタイトルだけど…みたいなことを言っていたと思うww
シンプルに良い曲で、コーレスなんかもあってかなり盛り上がっていた。
あまりの大団円に、続くコヤマヒデカズは「もうこれで終わりで良いのでは(苦笑)」みたいな感じだったww
この流れで最後にやれる曲は、今度こそアレしかないという感じだ。
「最近、マクドナルドのCMに使われて…」というMCでそれが確信に変わった。
制作秘話というほどでもないかもしれないが…。
この曲は、雑誌の付録か何かのために作った曲で、締め切り直前の短時間で完成させたらしい。
大柴広己も「そういうときの方が良い曲ができたりする」みたいなことを言っていた。
ということで本編ラストは『ハロ/ハワユ』で締められた。
前回の同イベントでもやっていたが、コヤマヒデカズの代名詞として構える曲だなと改めて思った。
いわゆる大物ボカロP同士のツーマンだから、もう少しボカロ曲をやるかと思っていた。
(まぁそういうのはナノウ名義でやれば良いが)
それを期待していた人もいるかもしれないが、その全てを『ハロ/ハワユ』に集約させたような印象でもあった。
一応、形式上のアンコールとして、2人でTHE YELLOW MONKEYの『JAM』を演奏して終演となった。
おそらく最初と最後の2人で演奏するところだけ決まっていて、あとはその時の流れで、という感じだと思われる。
まとめ
「切磋琢磨」というイベントは、空想委員会でサポートドラムを務めたテディが主催している。
また、空想委員会の三浦隆一が亡くなった直後のMiMiNOKOROCK FESでは、空想委員会の枠でCIVILIANが演奏していたのも記憶に新しい。
テディとコヤマヒデカズはお互いに大きな信頼関係があると言えるだろう。
初めて切磋琢磨のサーキットが開催されたのは2022年だ。
俺はそれを観に行って、それが初めてCIVILIANを生で観たときとなった。
その日以来、すっかりCIVILIANにハマっているので、切磋琢磨への感謝のようなものを感じている。
そして今回、その気持ちをテディに伝えることができた。
テディに話しかけるのはそれなりに緊張したのでなんかゴニョゴニョ言ってたと思うけどww
ちなみに大柴広己は、テディのことを「くそテディ」と呼ぶほど仲が良いようだww
それもまた信頼関係のひとつなんだろう。
—
「切磋琢磨」では、物販の割引券がついてくるのが定番だ。
今まではどうなっていたか忘れてしまったが、今回は明確に「お目当て以外の物販で使える」というものだった。
つまり、コヤマヒデカズ目当てで入った俺には、大柴広己の物販で使える割引券が渡された。
イベントの趣旨というか理念を如実に感じる施策だ。
要は、お目当以外で気に入った演者がいたら積極的に物販に行って欲しい、ということだ。
ちょっと気になった演者の物販に行ったら、より好きになるきっかけにもなるかもしれない。
それは主催者テディが自身を持ってイベントを組んだことの表れであるかもしれない。
好きなアーティストというのは無限に増える可能性がある。
しかし、何らかのきっかけがないと難しい。
例えば、SNSで見たとか、友人に勧められたとか、対バンでたまたま観たとか…。
何かを好きになるときは必ずきっかけがあって、さらにちょっとでも背中を押してくれる要素があることが望ましい。
それをわかりやすく体現しているのが切磋琢磨なのだ。
—
俺は2回目の観覧にして、初めて大柴広己の物販に行ってみることにした。
ライブが良かったことや前回も観たことなどを伝えた。
あと先日、tuki.が大柴広己の曲を歌った動画をX(旧Twitter)に投稿していたのでそれにも触れたww
正直に、割引券で何か買いたいと伝えたところ、ライブCDがあるとのことで勧められた。
けっこうな曲数が入っていてお得感があるし、ミニ色紙にサインまでもらった。
大柴広己のような大物と触れ合うことができるのは凄いことだ。
ちなみにコヤマヒデカズは物販に立たないので、直接喋ったことはないwww
割引券がなかったら物販に行ってないかもしれないので、切磋琢磨のおかげだな。
—
テディは、切磋琢磨のサーキットはしばらくやらないと言っていた。
とは言え、今回のような単発のイベントはちょいちょいやっている。
(3周年のシリーズだから特別かも?)
ライブに行くことの大きな理由のひとつが「アーティストとの出会い」だ。
好きなアーティストだけを観るのも良いし、初見でなくても新たな感想や体験を得ることもある。
もしかしたらそのためにライブに行っているのかもしれない。
もちろん他のイベントもそういう側面はあるが…。
切磋琢磨ほど、そこにフォーカスしたイベントはないような気がする。
これからの展開にも期待しておこう。
コメント