2024/06/02(日) 82刑独房LIVE「執行猶予STAY or RUN」 / 下北沢CLUB251

音楽

82回目の終身刑のマカと雪の刑期満了(脱退)が発表されたのは、4月のことだったろうか。

それから俺は、この日が来ることを待っていたような、来ないで欲しいと思っていたような…。
なんかずっとモヤモヤしていた。

いわゆる「推しの卒業」を体験したことがない俺は、それを受け入れる心の準備ができていなかったのかもしれない。

いろんなことをグダグダ考えていたら、前売りチケットを予約することもなく日が回って当時を迎えてしまった。
朝起きられて、この雨が止んで、当日券があるなら行こうと思って眠りについた。

ライブ観覧

上記の条件が満たされたので、昼のワンマンには行くことにした。
夜の対バンは、昼が終わったらどうするか考えよう。

朝起きられたらと書いたが、むしろ浅い眠りが必要以上に早く目覚めさせた。

早々に下北沢に着いて、食事をしてから現地に向かった。

ライブハウスの前に着くと、見知った顔が集まっていた。
82刑のファンだけでなく、他の現場のファンやSAKIやMARさんもいた。

ニコやかに振舞ってはいたが、俺はどの面下げてここにいるんだろうか、という気持ちもあった。
後ろめたいという意味ではなくて、俺はどういう気持ちでライブを観るんだろうか、という戸惑いのようなものだ。

当日券でフロアに入ると、思っていた以上にスカスカだ。

いや、っていうか…。

フロアにある机でっかwwww
え、もっとみんな観に来ようよwwwww

82回目の終身刑

3か月ぶりの観覧。
奇しくも同じく251で観たルピナス以来だ。

わりと余裕のあるフロアではあったが、後方から観ることにした。
後方と言っても、そんなに客が入っていないのでフロアの真ん中ぐらいだろうか。

あーるさんから前においでよ、と合図されるも、俺は後方で観るという判断をした。
そう配慮していただけるのはありがたい限りだ。

思えば俺は、幾度となくマカの目の前の最前で82刑を観ていた。
つまり逆に言うと、ほとんど後ろから観たことがないのだ。

現体制ラストワンマンと言えど、もしかしたら俺は82回目の終身刑そのものを観るのも最後になるかもしれない。
だから全体像を観ておきたかったんだと思う。

それは推しているバンドに対して常に思い描いている夢のようなものでもある。
願わくばもっと大きな会場のもっと遠くからもっとパンパンのフロアも含めて観たかったもんだが…。

SEから『逃亡先の地獄郷』が始まった。
まともに雪が叩いているのを観るのは久しぶりだが、いきなりハードなやつきたww

ちょうどSAKIのお披露目ワンマンも同曲でスタートしたのを思い出した。
なんならSAKIの脱退ライブでも最初の方にやっていた。

ドラマー的には、最後にカマしておきたい、みたいなところがあるんだろうかwww

続く『共犯BREAK OUT』では、ここ半年ほど観るたびに鈴原優美に腕を掴まれていたことを思い出した。
だから、他の人が掴まれているのを後方から観るのが新鮮だったなww

なんとなくそうやって、今までのライブのハイライトを思い出しながら観ていた気がする。
この日はそういう日なんだろう。

『INFECTIONAL ID』の折り畳みを後方から観るのも貴重な体験だ。

トラメガで歌う葉月はやっぱ画になるもんだね。
あと、ラスサビ前の煽りでちょっとウルウルしちゃったな。

何を言ってたかは忘れてしまったが、要はいつも「ウチらが82回目の終身刑やー」みたいな感じではあるww
極めてシンプルにかっこいいな、と思う場面だ。

俺が観てきた82回目の終身刑というバンドはかっこいいバンドだったな、とシンミリした。
今まで幾度となく観て、散々ワチャワチャしてたけど、最後にじっくり観れて良かったね。

その後の『舞踏会の悪夢』や『MEMENTO』も久しぶりに観れて良かった。
何度も書いているが、こういう曲をライブで観るのは好きなんよね。

そうこうしているうちに『FALL DEATHLEEP』が始まった。
もう後方で腕組んで観てる場合じゃねぇ!ということで下手の前方へww

82刑にマカがいることの最大の意味は、葉月に合う曲を内製できるということだな、と思う。
本人たちはどう思ってんのか知らんが、少なくとも俺の評価はそんなところだ。
その化学変化のようなものが俺にとっては気持ちよかったんだろう。

『FALL DEATHLEEP』はその象徴的な曲だな、とよく思っている。
だから、リクエストワンマンの順位が低かったことに納得がいっていないwww

これはWWWのワンマンで披露された曲だ。
曲中の三拍子を予感させるかのようなセッションから演奏が始まったのを覚えている。
そして観た瞬間に、これはマカ曲やな、と察していた。

そのまま『泡沫』が続いて、俺歓喜タイムである。

マカの作る曲、奏でるベース、そして歌声も好きなんだよぁ、と改めて感じながら観ていた。
泣くような感じではなかったが、噛みしめるように楽しんでいた。

個人的に『ファンファーレ』は、『INFECTIONAL ID』に次ぐ82刑のスタンダードなキラーチューンだと思っている。
ライブでも幾度となく観てきた曲だ。
一緒に歌えるというのも良い点で、今までで一番大きな声で歌った気がする。

初めて行ったワンマンで披露されたのも印象に残っている。
変拍子を使ってきたのは意外だったが、今ではスッカリそれも馴染んでいる。

そして、これまた鉄板曲の『覚』が続いた。
俺が82刑を観てきた時期においては、初期からの王道とも言える曲だろう。

初めて82刑のアルバムを聴いた時に、「このバンドは『覚』やな…」と思ったもんだ。

アンコールはなかったが、実質的にはここで本編終了と考えている。
次の『起死回生RISING』は、アンコール的ポジションだった気がする。
もともと雪に向けて書かれた歌詞で、まさにこの日に相応しい曲だ。

そしてラストの『バイオレーション・バイブレーション』は、結果的に最後のマカ曲でもある。
曲調も相まって、エモい終わり方となった。

最後の囚人点呼で、俺は自然とマカの名を叫んでいた。

終演後は特典会があった。

これまでに幾度となく撮ってきたはずのマカ雪チェキだ。
何かうまいことを話せたわけではないが、少しばかりでも感謝と労いが伝わっていれば幸いだ。

マカは去り際に涙を浮かべていた。
そういうのは慣れてないというか、不意を突かれてオロオロしてしまったな。

俺はマカのおかげで、本当に今まで楽しい時間を過ごすことができた。
充分に応援できていたわけじゃないが、後悔なく最後のワンマンを終えることができたと思う。

ちなみに、雪とはレッチリの話しかしてないwww

まとめ

ワンマンのあとには本当のラストライブである対バンイベントがある。

当然、そちらも観るべきなんだが…。

はっきり言って、俺は気が向かなかった。

82刑は対バンでこそ輝くバンドかもしれない。
対バン相手も勝手知ったる仲の良いバンドだ。

でも俺には、その日に82刑以外を観る心のゆとりはなかった。

82刑だけの濃度を保っていたい気分だった。
メンバーともファン仲間とも笑って別れられるうちに帰りたかったというのあるだろう。

1人で車で帰路についても、どこか上の空というか…。
いろんなことを考えたり思い出したりしていた。

自分の中で一区切りつけるための時間が欲しかったのかもしれないな。

マカがいる82刑は、俺の中でとても大きな存在だった。
観てきた3年半はとても充実していたと思う。

その充実感に対する感謝の気持ちや満足感がどんどん湧いてくるような感覚だった。

おまけ

もう何度も書いていることだが…。
82回目の終身刑との出会いをおさらいしておく。

2019年、俺は別のあるバンドを推していた。
そこのファン仲間から薦められたというか話題に出ていたのが、chocol8 syndromeや82回目の終身刑であった。

ちょこはちを観始めてしばらく経ったころに、世間はコロナ禍になってしまった。
それでも2020年の夏ごろからは現場のイベントも増えてきた。
ところが、推しバンドはライブをあまりやらないままで、俺の気持ちも薄れていっていた。

2020年の秋ごろだろうか。
ちょこはちが赤羽レニーでイベントをやっていたので行ってみた。

大阪の会場でも同時開催されていて、それを中継で画面越しに観たのが初めての82刑観覧だった。
まったくピンとこなかったwwwww

そうこうしているうちに、82刑がリクエストワンマンみたいなのを無料で配信していたのでそれも観てみた。
メンバーはセトリを知らずに、その場で流れた同期やドラムに合わせてやる、みたいな感じだった。
ワチャワチャしてて、やっぱりそれもあんまりピンとこなかったwww

画面越しだから伝わってこない、というのもあったと思うが…。
なんか82刑は俺には違うんだろうな、と漠然と思っていた気がする。

そんな中である日、ふとTwitterに流れてきた当時の新曲『泡沫』のライブ動画を観てみた。

ご存知の通り、すげぇピンときたwwwwwwww

82刑ってこんな曲もやるんだ、どうやらベースのマカって人が作ってて歌ってもいるらしい…。
こういうのはもっと早く言ってくれないと!と思ったが、それが新曲発表時だから仕方ない。

ピンときたら早いもんだよ。

『八つの大罪』と『共犯BREAK OUT』のMVもなんか怖くてピンときてなかったけど…。
『INFECTIONAL ID』のMVはすげぇかっこいいやん、と何度も観ていた。

並行して、ちょこえるバーやソロライブ、あるいはSNSや配信で当時のフロント3人のこともよく知るようになっていった。

これらの流れが2020年後半から2021年初頭にかけてのことで、82刑との出会いの期間と位置付けている。

そんなわけで俺はそれから82刑を、特にマカを観続けてきたわけだ。
三つ子の魂というか、生まれたばかりのひな鳥というか…。
やはりスイッチが入る大きなきっかけになったマカの存在は大きかったのだ。

それからそのまま今に至っている。

俺が考えていたこと

冒頭に書いた通り、脱退発表からずっとモヤモヤしていた。
そのモヤモヤを少し具体的に書いてみる。

モヤモヤ①

82回目の終身刑の現場には多くの知り合いがいる。
それだけ長く多く観てきたということだろう。

ファン仲間というのは、いわば同じ方向を向いた同志である。
俺はわりとそういう空間に居心地の良さを感じるタイプだ。

でも、今回は違っていた。

もちろん俺は、82刑の今後のさらなる発展を願っている。
他のファン仲間もそうだろう。

しかしその今後という場面において、俺がいるかどうかはわからないのだ。

俺は、SAKIのラストライブを観たし、ラストではないもののてのひらえるも見送った。
それは謂わば、”在校生”のような気持ちにも近かった。

でも今回は、発表があった時点から俺に芽生えたのは”卒業生”の気持ちだった。
それはもちろん、俺がマカ推しだからである。

俺もマカと一緒に卒業するのかもしれない、という漠然とした不安が大きかった。

てのひらえるが脱退してから、NUMBER50(てのひらえるファン)はほとんど82刑の現場に来なくなった。
たまにサーキットや対バンで、てのひらえると一緒になれば観る、ぐらいだろうか。

言い方は悪いが、推しがいたバンドで何度も観ていたのに薄情なもんだな、とも思っていた。
でも、そういうもんだというのもわかっていた。

そして今回の俺は、俺自身もそうなる可能性があるということを強く感じた。
俺自身も薄情なもんだな、と自己批判のような感情がグルグルしていたのだ。

そういう経験がなかったから、この気持ちをあまり理解できていなかったのだろう。
正確に言うならば、この気持ちの処理の仕方がわからない、という感じだろうか。
(FAKE?からINORANが抜けたときは近いものがあったし、結局その後観に行っていないし聴いてない)

見送る立場と見送られる立場…。
同じ方向を向いているはずのファン仲間とは明確にそこが違ったのだ。

発表から当日までのおよそ2か月間。
俺は人知れず、孤独を感じていたのだろう。

少なくとも俺が知る限り、俺と同じ気持ちの仲間はいなかった。

それでも、現場で会っていなくてもキャスで俺の愚痴みたいなのを聞いてくれるファン仲間も多かった。
それは大いなる助けとなって、今回のワンマンに行く後押しになったと思う。
本当にありがたいことだ。

バンドを推していて、メンバー脱退というのを経験したことはある。
82回目の終身刑においてもそうだ。

バンドごと見限ったこともある。
それは俺の気持ちが離れているということだ。

しかし、バンドに対して俺の気持ちがあるままで、推しメンバーが脱退するというのは初体験なのだ。
それでこういうときにどういう心持ちでいればいいんだろうか、というのがわからなかった。

82刑のメンバーやスタッフとしては、もちろん「これからの82刑も応援してね」という気持ちだ。
それは脱退するマカも同じで、そんなような投稿をしていた気もする。

でも、俺からしたら、いやいやちょっと待ってくださいよ、と。

確かに82刑はバンドとして好きだし、曲も好きだ。

でもそれは、”マカがいる82刑が好き”なのである。
はっきり言ってしまうと、マカ加入以前の82刑を知っても好きになってた気がしない。
さらに言うならば、上記の通り、『泡沫』に出会うまではピンときていなかった。

恋人から振られるときに、「(私は振るけど)幸せになってね」と言われる感覚に近いだろうか。

「え、いや、俺はあなたがいないと幸せになれないんですが…」

としか思いようがない。
まぁそういうのは時間が解決してくれるものでもあるかもしれない。

ラストワンマンのタイトルに即して言うならば…。

ファンやメンバーの中で、俺だけSTAYしているような感覚だろうか。
自分だけ時が止まったと思うほどだ。

モヤモヤ②

82回目の終身刑は、葉月や総長がいる限り続くし、よりパワーアップする可能性もある。
多くのファンもそれを望んでいるし、俺もそれを望んでいる。
マカと雪が抜けても鈴原優美は残るわけだし、それも心強いことだ。

できれば俺も、新しい82刑を好きになりたい。

でも、それは約束できない。

世間の99%の人がより良くなったと思っても、俺が好きになるものとは限らない。
もちろん、マカがいないから好きじゃない、ということが確定しているわけでもない。

しかし、少しでも「マカ雪がいたころの方が良かったね」と思ってしまったら終わりなのだ。

脱退するのは仕方のないことで、それを引き留めたり悔やんだりすることはない。
それよりも未来に失望してしまうことが怖いのだ。

マカは他のバンドもやっている。
むしろ、本来はそちらのaomidoroがメインだ。

それは関西だから観に行けないし、関東でサポートをやってもそのバンドが好きとは限らないし…。

など、とにかくいろんなことを考えていた。

頭の中をいろんなことがモヤモヤグルグルした結果…。

俺は「マカがいる82刑が好きで、82刑にいるマカが好きだった」という結論にしか辿り着けなかった。

この文章を書きながら、それが無くなってしまったことを改めて実感している。

もちろん俺は、82回目の終身刑のボーカルとしての葉月、そしてソロアイドルとしての葉月も好きだ。

でも、マカの脱退に際して気づいたことがある。

俺は葉月を「マカを82刑に入れてくれた人」としても好きだったのだ。
なんて素晴らしいバンドを作ってくれたんだ、という気持ちが実は大きかったのだろう。

だからと言って好きじゃなくなるというわけではないが…。
なんで脱退させてしまったんや、という気持ちがないと言ったらウソになる。
(葉月にどうこうできない不可抗力があるんだろうというのはわかる)

引き続きライブがある葉月ソロもどんな気持ちで観るのかわからない。
だからこそ、久しぶりに改めて観てみたいという気持ちもある。
鈴原優美についてもそれに近い。

なんかそんなことを考えてモヤモヤしていた。

俺はあくまでも好きな82刑を中心として、各メンバーのソロや界隈の対バンを観ていた気がする。
その全てが音を立てて瓦解していくような感覚にもなった。

何事も永遠であるはずはないというのはわかっているが…。
82刑を追っていた日常が当たり前だと思っていたし、それがずっと続くことを望んでいた。
俺は、まやかしの永遠を信じてすがっていたのかもしれない。

ラストワンマンを観終えて

今回のマカ雪体制ラストワンマンを観て、そのモヤモヤが少し晴れた気がする。

何か結論が出てわけではないが…。
結局、それは時間の経過でしか解決できないものなのだ。
しかし、正直なところ、この文章を書きながらも心のどこかが浮ついているのは否めない。

しばらく82回目の終身刑として、表立った活動はない。
8月には新体制に関する発表やお披露目があるだろう。

それを俺が受け入れられるかどうかはわからない。

俺はそれに何を期待するんだろうか。

・マカぐらい俺が好きなれる曲を作れる人がいる
・マカ雪がいたころよりも良いろ思えるバンドになる
・上記のような比較にならないような新しいバンドになる

俺の個人的な基準だが、それらが満たされたら俺はまた82刑を観るかもしれない。

どうしても感情的なアドバンテージはあるかもしれないが…。
一旦リセットして、あくまでもフラットに判断していきたいと思う。
新しい82刑を俺が好きになって観るべきならば、然るべきタイミングできっとまたどこかで出逢ってピンとくるはずだろう。

バンドを好きになる時とは明確なもんだ。
でも、推しの脱退に際した俺は、なんとも曖昧な感情を抱えてしまった。

さて、ひとまずこれにて俺も刑期満了だ。

また罪を犯して監獄に戻ってこれるのを楽しみにしている。

82回目の終身刑を観始めて3年半が経った。
コロナ禍でどんよりしていた時から、今に至るまでとても楽しい時期を過ごせたと思う。

マカ雪はもちろん、他のメンバーやスタッフにも感謝が尽きない。
数多くのファン仲間にも同じくだ。

本当にありがとうございました。

また同じ方向を向けるときが来たらよろしくお願いします。

来世に期待を込めて。

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